慶應義塾大学病院の炎症性腸疾患外来通院中の患者さんへ

慶應義塾大学病院の炎症性腸疾患外来通院中の患者さんへ

 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)に対する非常事態宣言が2020年4月7日に発令され、患者さんにおかれましては、大きなご不安の中お過ごしのことと存じます。その渦中において当院において生じた、他院からの転院を契機に発生した院内感染、さらには、初期研修医の会食とそれに伴う研修医自身の複数感染者の発覚という事態について、報道等で、すでにご存知のことと存じます。患者さん皆様にご不安とご迷惑をおかけしておりますことを、略儀ではございますが、このお手紙をもちまして深くお詫び申し上げます。

 また、COVID-19の首都圏での蔓延の最中、予約変更や治療計画の遅延など、診療に影響を被られた患者さんもたくさんおられるかと思いますが、当院に通院していただいております患者さんの体調にお変わりはないか憂慮しております。

 潰瘍性大腸炎およびクローン病を始めとした炎症性腸疾患の患者さんにおかれましては、治療薬に免疫反応を抑える薬剤を使用することも多く、現行の治療を継続することに不安を感じている方も少なくないかと存じます。日本臨床免疫学会を始めとした学会等の提言では、これらの治療薬の内服がCOVID-19にかかった際の病状悪化に関与する根拠はなく、むしろ自己中断がもともとの炎症性腸疾患の病状の悪化を招く恐れがあるため、治療を継続することが推奨されています。もちろん、手指衛生の徹底やいわゆる3密を避ける予防的な行動が重要であることは言うまでもありませんが、ぜひ自己判断での薬の内服中断や通院をやめたりはせずに、治療の継続をすることをお勧めいたします。その中で、発熱やせき、呼吸の苦しさなどの症状が見られた際には、早めに当院あるいは新型コロナ受診相談窓口に相談し適切に対応して頂くようお願いいたします。

 私達は、これまで以上に安心かつ安全な診療をお受けいただけるよう、行政の指導と感染症診療専門家の意見を取り入れながら、より厳格な感染防護策の徹底、医療従事者のPCR検査や適切な就業制限などの諸対策を厳重に行うなど、クリーンな診療体制構築の努力を日夜続けております。当院に通院していただいております患者さんにおかれましては、当面は、電話対応による処方箋の発行・発送だけでなく、診療科ごとの電話診察や相談の対応、ご病気の急変等に備えた救急体制を堅持しながら、現在の困難な状況を乗り越えていく覚悟を、教職員一同で共有しております。

 この度、皆さまにはご心配とご迷惑をおかけしておりますが、これまで慶應義塾大学病院を信頼し、ご通院をされてこられたたくさんの患者さんに対して、堅実にそして誠実にお応えできるよう、教職員一同全力で取り組んで参りますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。


慶應義塾大学病院 消化器内科
教授 金井隆典
スタッフ一同


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IBD外来通院患者さんへの注意事項