機能グループ


機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群といった機能性消化管疾患は消化管内視鏡等で器質的病変を認めないにも関わらず、腹痛などの消化器症状を呈する疾患です。生命予後には影響しないものの、有病率は高く、症状によってのみ、診断がなされるため、消化管運動異常や精神的ストレス、腸内細菌、炎症など、様々なメカニズムが背景にあると考えられていますが、治療に応用可能な標的分子の同定などには至っていないのが現状です。機能グループでは機能性消化管疾患の病態生理を解明し、新たな診断法、治療法を開発することを目指しています。



1. 消化管神経、消化管グリアの機能性消化管疾患の病態生理的役割の解明

消化管には脊髄に相当する約10億のニューロンが存在し、消化管は'第2の脳'とも呼ばれています。近年、脳内ではニューロンの間に存在するグリア細胞が単に間質を埋めているだけではなく、様々な生理的、病態生理的な役割を担っていることが明らかになってきています。消化管においてもグリア細胞はニューロンの数倍、数十億存在しており、脳内同様にその生理的、病態生理的な役割が注目されています。


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マウスの消化管神経叢
消化管ニューロン(緑:神経マーカー Hu陽性細胞)と
消化管グリア(赤:グリアマーカーSox10陽性細胞)









「油ものを食べるとお腹の調子が悪くなる」という感覚は誰しもが経験したことのある感覚です。しかしながら、その分子メカニズムは明らかになっていません。我々はある、脂質受容体に着目し、その消化管神経叢特異的欠損マウスを作成することに成功しています。現在、この脂質受容体の消化管ニューロン、グリアにおける役割について解析中です。


2. 治療抵抗性胃食道逆流症の病態生理の解明

胃食道逆流症に対する治療としてプロトンポンプ阻害薬を中心とした酸分泌抑制が行われますが、治療に反応しない患者さんが一定の割合で存在します。我々はこういった患者さんに対して高解像度食道内圧測定や24時間pHインピーダンスモニタリングを行っており、治療抵抗性胃食道逆流症の病態生理の解明を目指しています。


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高解像度食道内圧測定














24時間pHインピーダンスモニタリング













3. ピロリ菌関連ディスペプシアの分子機序の解明

ピロリ菌陽性の機能性ディスペプシアの患者さんではピロリ菌除菌に成功すると症状が消失する患者さんが一定の割合で存在していることが知られており、ピロリ菌関連ディスペプシアとして機能性ディスペプシアから区分されつつあります(Gut 2015)。しかしながら、除菌療法に反応する患者さんとしない患者さんの間で何が違うかかは明らかになっていません。我々はピロリ菌の菌体因子が消化管機能に及ぼす影響に着目し、解析を進めています。