胆・膵疾患

 慶應医学の大きな特徴は、一般・消化器外科、放射線診断科や腫瘍センター、内視鏡センター、予防医療センター、免疫統括医療センターなど診療科間の垣根が低いことです。この特徴を最大限に活かし、診療科の枠を超えて各診療科が強固な協力体制のもと、がん、免疫難病、肝不全・肝移植、特殊内視鏡治療など大学病院特有の難治疾患を適切かつ迅速に診断・治療を進めてまいります。

胆・膵疾患

診療の特徴

消化器内科(胆・膵班)では胆道系疾患、膵疾患を対象とした診療をしております。胆嚢や膵臓の病気は症状が出にくいことから、病状が進んだ状態で発見される傾向があります。また、内視鏡で直接観察のできない臓器であり、体の奥にあることからその診断、治療には高い技術を要し、かつ患者さんに負担をかける検査が多いのが現状です。しかし、最近の胆膵領域における医療、特に内視鏡機器の進歩は目覚ましく、安全で有用な検査が開発されております。当院では最新設備、機器を取り揃えると共に外科および内視鏡センターと協力することで、安全、円滑な内視鏡処置ができるよう十分な体制を整えております。超音波内視鏡を用いた各種診断、治療も積極的におこなっております。

肝胆膵移植班カンファレンス、胆膵内視鏡カンファレンスを毎週開催し、治療方針について各専門科医師とともに治療方針を検討しています。当院ではカンファレンスだけでなく内視鏡検査・治療も内科・外科合同で行っており、診断検査から手術まで滞りのない診療を実現しています。また、抗癌剤治療を要する進行癌についても、消化器内科腫瘍班と共同して迅速な確定診断と適切な内視鏡治療を行うことで早期治療介入が可能となっております。一般的な疾患から特殊な疾患、内視鏡治療が難しい場合まで幅広く患者様を積極的に受け入れておりますので、当院での治療をご希望の方は、かかりつけの先生と相談しご紹介いただけますと幸いです。


紹介いただく医療機関の先生方へ

膵胆道検査に対する需要の高まりとともに、ご紹介いただく患者さんも増えております。当院では胆道観察、治療に有用な最新の胆道鏡(SpyGlassDS)と電気水圧衝撃波結石破砕装置(EHLオートリスTOUCH)を常備しております。また、胆膵疾患の画像診断として最も有用とされている超音波内視鏡検査(EUS)については、積極的に施行しており、当院では、コンベックス型EUS、ラジアル型EUSともに常備しており、患者さんの状況に合わせてフレキシブルに対応しております。

胆管膵管へのERCP処置困難例(1486件中12件、約0.8%)に対するインターベンショナルEUS (超音波内視鏡下胆管、膵管ドレナージ)も施行しております。当院は膵臓用瘻孔形成補綴材であるHOT AXIOSの使用可能施設となっており、被包化膵壊死の治療に積極的に利用しております。また、合併症が多く高度な技術が必要である内視鏡的十二指腸乳頭切除術については、ご紹介いただいた患者さんを中心に治療適応を見極めたうえで治療をおこなっています。


対象疾患

急性胆管炎 致死的な急性期疾患であり、当院では夜間休日も含めて迅速な胆膵内視鏡処置が可能な設備・体制を整えております。他の病院からの緊急処置を要する疾患の転送についても対応可能な高次医療機関となっています。

急性胆嚢炎 持病や内服薬などで緊急手術ができない患者さんに対して内視鏡を用いた処置や経皮的処置をおこなっています。

胆道がん 胆道がんの確実な診断のために、超音波内視鏡、ERCP検査を用いて評価を行っております。肝門部領域胆管がんは高難度の手術を要するため、内視鏡を用いた十分な精密検査が必要です。慶應義塾大学一般消化器外科胆道班と協力し、正確な診断を心がけています。また、胆道腫瘍による閉塞性黄疸や胆管炎は、患者さんのQOLを阻害し胆道がんに対する治療を遅らせる原因となります。内視鏡によるステントの挿入や経皮的なドレナージ処置をもちいて胆道閉塞の解除、管理についても担当しております。

十二指腸乳頭部腫瘍  内視鏡を用いて病変の範囲と深達度を評価したうえで内視鏡的乳頭切除術を積極的におこなっています。 合併症の多い侵襲性の高い処置ではありますが、当院では75例以上の経験がありその経験を学会や論文へ報告しております。表層型の非乳頭部腫瘍については、低侵襲治療グループと協力して治療しております。

膵臓がん 疑われた時点から治療開始までの期間が短いほど治療成績が良いことが報告されております。組織診断が必要な場合は私どもで一泊二日での超音波内視鏡下生検検査(EUS-FNA)を積極的に行っております。治療方針決定に非常に有用な検査です。また、胆道がん同様に膵臓がんによる胆道閉塞や十二指腸閉塞に対して内視鏡的な処置を担当しております。

膵管内乳頭粘液性腫瘍 いわゆる典型的な膵がん(膵管がん)とは異なり、良性から悪性までさまざまな段階で見つかります。一生にわたって症状が現れない方もいますが、長期間の経過を経て膵がんを発症したり、膵炎にななるかたもいます。当院で精査後はかかりつけ消化器内科へ逆紹介いたしますので、定期的な画像検査を継続する必要があります。

急性膵炎 とくに重症急性膵炎は高度な集学的治療を要する病状です。慶應大学病院では、集中治療管理、持続血液ろ過透析、動注療法を含めて積極的に重症膵炎の治療に取り組んでいます。また、重症膵炎、壊死性膵炎後の膿瘍形成に対する低侵襲な内視鏡治療(超音波内視鏡下瘻孔形成術)もおこなっております。

膵石症・慢性膵炎 治療の難しい疾患ですが、内視鏡的治療(膵管ステントの挿入膵管拡張、膵管乳頭切開術、副乳頭処置など)とドルニエ社の衝撃波装置を用いたESWLを用いて治療を行っております。 膵石治療については各種ガイドラインにそって、「腹痛がある患者さん」「断酒を守れる患者さん」を対象としております。(注:ESWLの新規患者さんは受け付けておりません。必要症例は専門施設への紹介を致します。)

自己免疫性膵炎・IgG4関連疾患 当大学ではIgG4関連疾患の診断と治療に力を入れており、多くの患者さんが通院されています。