教授挨拶

平成25年8月1日付けで日比紀文教授の後任として慶應義塾大学医学部内科学教室(消化器)教授に就任いたしました金井隆典でございます。当教室は三辺謙教授(初代)、土屋雅春教授(第2代)、石井裕正教授(第3代)、日比紀文教授(第4代)と脈々と受け継がれてきた伝統ある教室です。大学医局員約50名、教室員は300名を超える大きな組織であり、大学と慶應が誇るレベルの高い関連病院が密接に連携をとりながら臨床・教育・研究に取り組んでいます。常に患者さんの視点に立ち最善の診断・治療が行えるよう、これまで築いてきた慶應の良い部分を継承しつつ、常識にとらわれずに積極的に新しい考え方、方法を取り入れてさらに教室を発展させていく所存です。

消化器内科は食道、胃、小腸、大腸、そして肝臓、胆嚢、膵臓までの非常に幅広い臓器を担当し、さらに各臓器において炎症性疾患、良悪性腫瘍、機能性疾患、ウイルス感染症など様々な疾患が存在し、内科の中でも患者さんの数が非常に多い領域です。つまり、消化器内科領域は健康と疾患のgatewayとして守備範囲の教室であります。当教室では、臨床グループ(班)を上部消化管、下部消化管、腫瘍、肝臓、胆膵、内視鏡と大きく6つに分け、消化器内科全般の知識に加えて各領域の専門的知識を有するスタッフが外来、病棟診療に従事しています。一方、研究グループ(ユニット)は、腫瘍、再生、免疫、機能と4つに分け、臓器間を横断してダイナミックにアプローチできる体制を整えております。また、近年、消化管早期癌に対する内視鏡的治療、難治性炎症性腸疾患に対する生物学的製剤や、C型慢性肝炎の治療抵抗因子の診断、および新規抗ウイルス剤による治療など消化器領域における内科的診断・治療技術はめざましい進歩をとげています。しかし、一方で、がん領域全般、免疫難病、劇症肝炎・急性肝不全など、単一の診療科での対応には限界があり複数の診療科による迅速かつ適切な連携が生命予後を左右する疾患も多く存在します。我々は慶應医学の大きな特徴である診療科間の垣根の低さを遺憾なく発揮し、消化器内科、消化器外科、放射線科、腫瘍センター、内視鏡センター、免疫統括医療センターをはじめとする横断的"消化器クラスター"の中で、患者さんの目線で医療を提供できるよう全力をつくしていきたいと考えております。

私は次世代を担う若手消化器内科医師を育成することが大きな使命と考えています。私は同じような医師を育成するつもりはありません。消化器内科が担当すべき領域において、若手医師のニーズに応え、多種多様な新しいカリキュラム作りに着手し、それぞれの若手医師の10年後の未来を見据えた、目標を明確に提示できる卒後教育を展開、挑戦して参りたいと思います。そのためには、慶應大学消化器内科教室の取り組みのみでは決して十分ではなく、特徴をもった多種多様な教育関連病院と連携をとりながら、卒後教育において、共通の認識、指導体制のもとで推進して参ります。さらに、私は学閥などまったく気にしません。若手医師が、国内外のすばらしい施設でトレーニングをしたいと切望するならば、異文化に触れるこのような挑戦的な若手医師の育成の旅を積極的に応援していきます。若手医師個々の適正を見いだしその特性を伸ばし、総力を挙げて将来の消化器病領域の発展に貢献したいと考えております。

最後になりますが、私たちはこれからも患者さんの立場に立ち、お一人お一人と向き合い、コミュニケーションをとりながら最善の医療を提供するよう努力していきます。今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。

平成25年8月
金井隆典