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先輩からのアドバイス

2009年

  1. 「米国とボリビアでの心臓カテーテル治療」
  2. 「充実した環境での臨床と研究、そして育児との両立を目指して」
  3. 「総合診療医が一つのゴール」

バックナンバー

最新年度2008年

米国とボリビアでの心臓カテーテル治療

慶應義塾大学医学部内科学教室 循環器内科講師 心臓カテーテル室主任 河村 朗夫

 私は北海道札幌市郊外で育ち、父、祖父は開業医でした。幼少時には、祖父が吹雪の中、馬そりで往診にでかけた話などを聞いて育ちましたので、将来は臨床医として地域医療に携わりたいと夢描いておりました。内科研修医時代は、それはもう厳しくかつありがたい指導を受けましたが、非常に充実しており医師としての礎になりました。循環器内科医としてのトレーニングが終わる頃、どうしても広い世界の医療を体験したく、ECFMGを取得し米国ボストンに臨床留学へ参りました。留学中は米国だけでなく南米ボリビアでカテーテル治療をする機会に恵まれました。ボリビアは貧しい国で国民皆保険制度はありません。医療機器は全て米国から持ち込み、無料で治療を行いました。非常に印象的だったのは治療が終わったときの患者さんやご家族の反応でした。涙を流されて抱きつかれる方もおられました。日本も昔はこうだったのかと複雑な心境でした。と同時に世界にはまだまだ我々が少しでも力になれる人たちがいるのだと実感しました。帰国後は心臓カテーテル治療の臨床と教育に従事しておりますが、いつかまた世界の患者さんのお役にたちたいと思っています。
 当時も今もそうですが、内科学教室には度量の広さと申しましょうか、各人が自分の夢を追い求められる、そんな環境があります。研修医時代、留学中、帰国後も山あり谷ありですが、先輩、後輩に毎日助けていただきながら今も夢を追い求めています。

慶應義塾大学医学部内科学教室 循環器内科講師
心臓カテーテル室主任
河村 朗夫

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充実した環境での臨床と研究、そして育児との両立を目指して

慶應義塾大学医学部内科学教室 腎臓内分泌代謝内科 助教(専修医) 武田 彩乃

 私は旧研修医制度であった平成14年に内科学教室に入局し、卒後2年間の研修医期間に医師としての基本を学びながら、内科の各専門科をローテートしました。初期研修医の2年間で内科以外の科を経験し、より幅広い知識を持って患者さんに接することができる皆さんにとって、改めて内科の各専門科をローテートできる慶應義塾のプログラムは自分自身の将来を決定していく上で非常に有意義であると思います。また研究面においても最先端の技術や知識を習得できる機会が数多くあり、臨床医であるとともに疾患の原因究明や将来の新しい治療戦略を見据えた基礎研究を追及できる恵まれた環境です。
 皆さんの中にもおそらく臨床・研究と、出産・育児との両立について悩んでいる先生もいらっしゃると思います。わが国では認可保育園の待機児童数が多いことが問題として取り上げられていますが、当院では病院から徒歩3分以内の場所に、育児をしている職員向けの保育施設「慶應義塾保育所」が設置され、私達女性医師が仕事を続けていく上で大変心強い味方となっております。私は長男が生後5ヶ月の時点で仕事に復帰し、同時に慶應義塾保育所にお世話になることになりました。慶應義塾保育所では一日の様子を保育士さんからの詳細な記録で振り返ることができ、育児の悩みを相談できる場でもあるため、息子とともに私も日々成長させていただいていると感じています。毎日息子が笑顔で通園し、私が安心して仕事に専念できるのも、定員15名と小規模であるからこそ保育士さん達の愛情のこもった、きめ細やかな保育を受けることができるからと考えております。
 私が職場に復帰できたのは医局の先生方や保育所のスタッフの方々のご理解とご協力なくしては成し得なかったことでありますが、皆さんもぜひ諦めることなく一緒に頑張っていきましょう。

慶應義塾大学医学部内科学教室 腎臓内分泌代謝内科
助教(専修医)
武田 彩乃

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総合診療医が一つのゴール

明医研ハーモニークリニック理事長 内科学客員講師  中根 晴幸 (51回)

 初期研修はもちろん大切だが、内科は幅広く、息の長い診療領域です。息切れせずに、方向を誤らず進めばいつかゴールに達する、そんな体験を話します。
 自分は腎・内分泌・代謝研究室に所属して卒後3年目から研究留学した例外的経歴のため国内の臨床研修を十分受けていません。卒後8年目に帰国し大学院に籍を置き地方病院に入職。先輩、同僚に教わりながら時間をかけて自己研修し、臨床家としては遠回りながら、症例に即した総合診療的な経験を積みました。専門領域としては高血圧診療をテーマに選び、そこからさらに領域を拡張して来ました。こんな型破りな研修ができたのは、慶應の自由な学風に育てられたおかげと思います。
 病院在職12年目に病診連携を担当した際に考えついた「地域連携による在宅医療の推進」はその後全国に展開された医療モデルですが、平成7年に自らその構想を実践しようと開業しました。開業に踏み切る時は自分の経歴や専門知識が役立たなくなる気がしたが、現実には新たに得るものが多大でした。
 ハーモニークリニックは訪問部門を備えた多機能診療所として評価を受け、現在は常勤医7名、全職員数100名を超え、大学からも市立病院からも内科実習生を受け入れています。私たちが目指すのは、地域に密着し、在宅医療にも対応し、とことん頼りになる医療を実践することで、在宅医療だけを目標とはしません。予防から緩和ケアまで含む癌診療も我々の仕事の一部です。自分を含め専門領域を学んだ医師は、能力を発揮できる診療機会を持ち続けるべきです。また自らを苦しくするような仕事は長続きしないが、チーム医療では互いの負担は軽減され機能が増します。
 臨床医としての成功にはいくつか形があると思いますが、新しい診療領域を開拓できた現在には満足しています。医療自体が元来、魅力ある仕事で、我々はそうした医療の魅力に助けられ成長した例でしょう。
 内科医の道は長く、進むにつれ魅力ある領域が開かれます。まず病院勤務に適した研修を受け、自分の役割を果たす経験を積んだ後、さらに総合診療医としての充実した日々を送ることが可能です。

明医研ハーモニークリニック理事長
内科学客員講師  中根 晴幸 (51回)