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内科専修医座談会

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参加者:

市原淳弘

(内科研修担当主任)

田坂定智

(指導医)

林 香

(専修医)

石澤 丈

(専修医)

市原:

新しい内科専修医制度が開始して、約4ヶ月が経過しました。本日は、外来と病棟で日々活躍中の専修医と指導医の先生にお集まりいただき、意見交換をしたいと思います。まずは内科専修医プログラムの概略について、指導医の田坂先生から説明をお願いします。

田坂:

慶應の内科専修医は、1年目は内科の5診療科(呼吸循環器内科、消化器内科、神経内科、血液感染リウマチ内科、腎臓内分泌代謝内科)すべてを10週間ずつローテーションします。専修医2年目には、関連病院に出向します。初期研修医と異なる点は、専門外来の補助をし、病棟では主治医により近い形で、診療に参加します。

市原:

本日は二人の内科専修医の方にも来ていただいております。お二人とも新しい制度の一期生ですね。まず自己紹介と慶應の専修医プログラムに関する感想をお願いします。

石澤:

石澤君

慶應大学を卒業し、3年目になります。初期研修医プログラムは、慶應大学のたすきがけプログラムを選択しました。一年目は慶應大学病院、二年目は静岡赤十字病院で研修をしました。今年の4月以降は、腎臓内分泌代謝内科を10週間回り、現在、血液内科に配属されています。慶應のプログラムを選んだ理由は、関連病院と異なり回診、カンファレンスの機会が多く、専修医がプレゼンする機会が多いことから患者さんの病態をより深く理解できるなど、臨床スキルを磨くことができると考えました。一般の病院では、早くからひとり立ちしてオーベン(上級医)として診療ができる機会を与えられますが、自分の誤りに気づかないことがあると心配しました。慶應病院ではオーベンがいるので、自主性が確保された上で誤りを指導してもらえます。慶應の指導医は、内科全般の診療に関する知識が豊富で、自分たちが努力しても追いつけないだけの知識があり素晴らしいと思います。

林:

私は慶應大学医学部を卒業後、国立国際医療センターで2年間初期臨床研修を受けました。学生時代の臨床実習が素晴らしかったこと、研究を通して患者さんにより良い医療を提供したいと思い、慶應大学の専修医プログラムを選択しました。血液内科とリウマチ内科に5週間ずつ配属され、現在は呼吸器内科で診療を担当しています。慶應の良さは、オーベン・ネーベン制度だと思います。慶應のオーベンは、内科全般に関する知識が広く、診療と研究を楽しそうにしているのが印象的です。一生続きていく仕事なので、そのような環境で研修できるのを幸せに思います。最初は他施設と比べて内科のローテートがあるので、専門医になるのが遅れると心配しましたが、今はローテートできてよかったと思います。カンファレンスでは、その道の権威で経験が豊富なスタッフとオーベンが多く、治療方針の決定の過程などを間近で体験し、大学病院ならではの高度な医療に参加できのが魅力です。

市原:

市原先生

ありがとうございます。お二人は初期研修における経歴が異なりますので、それぞれの感想を伺えてよかったです。石澤先生は慶應プログラムでの初期研修医をされましたが、同じ大学の内科専修医プログラムに進まれて感じられたことを聞かせてください。

石澤:

卒後1年目ではすべてが新しく、追われている感じがしました。3年目になった今、これまでの二年間の経験が活かせている喜びがあります。一方では来年から関連病院において、自分ひとりで患者さんを担当し、治療方針の決定をするのは、楽しみでもあり不安でもあります。日々の楽しさもある反面、来年のことを考えると少々焦る気持ちもあります。

市原:

焦りを感じる自分に対し、慶應の内科専修医システムは応えていますか。

石澤:

オーベンの先生方に助けられています。カンファレンス、回診、オーベンとのやり取りに焦りを生む機会があり、向上心をそそられます。同期とオーベンとのやり取りから多くのことを学んでいます。一方、関連病院では、卒後3年次から主治医として病棟、外来を任せられるなど、早くから主治医としての経験を積めるなど、大学病院よりも優れた点があると思います。

市原:

今度は林先生にお聞きしますが、もし慶應内科以外の専修医プログラムを選んでいた場合、どうであったか想像できる点をお聞かせください。

林:

林さん

他の教育病院では、卒後3年次から主治医となり、初期研修医が自分につくのでひとり立ちが早いと思います。私も焦る気持ちが当初ありましたが、いざ慶應で専修医をすると学ぶことがとても多く、慶應のプログラムを選択して良かったと思います。手技を習得するには、より件数の多い市中病院の方がよいと思いますが、慶應大学は圧倒的にスタッフが多く、偏りのない知識を吸収できますし、最先端の研究ができるのも魅力です。

市原:

次に観点を少し変えて、慶應内科の専修医になり実際の生活面はいかがでしょうか。石澤先生は独身の男性、林先生は家庭を持つ女性の立場で、それぞれ教えてください。

石澤:

充実した生活を送っています。お給料は、独身なので足りています。

林:

私は卒後1年目に結婚しました。患者さんの診療と家庭生活を両立できています。ただ、勉強したいことがあまりに多く、夜遅くまで病院に残りたいと思うこともありますが、家庭との両立に心がけています。

市原:

仕事とプライベートの両立ができるプログラムであることを確認でき、一安心しました。ところで、実際に専修医の指導をしている田坂先生にお尋ねします。日々の教育においてどのような意識で専修医を育てているかについて教えてください。

田坂:

田坂先生

これからは、認定医と専門医の取得がますます重要になり、その一方で経験すべき症例など、取得する際のハードルは徐々に高くなっているように感じます。慶應のプログラムでは、認定医と専門医を取れるように、各領域を深く、まんべんなく研修できるように心がけています。内科医としての幅広い知識を持ちつつ、将来、専門領域を決めて、その領域のスペシャリストとなる土台をきちんと築けると思います。将来、皆さんが市中病院で勤務医になるにしても、教育・研究機関で働くにしても、また開業するにしても、その分野で活躍できるだけの十分な基礎を築けるでしょう。

市原:

なるほど、内科全般を網羅した知識と経験を持った上での専門医となるように教育されているのですね。この理念を共有して教員一同は最善の努力していますが、絶えず向上するために決して現状に満足することはありません。最後に、今後慶應内科専修医プログラムを改善すべき点について提言をお願いします。

石澤:

よい点は沢山申し上げました。プログラムの構成上、難しいかもしれませんが、血液内科とリウマチ内科など2つの領域にまたがる診療科では、それぞれの配属期間が5週間と短いのが少々残念です。

市原:

教育内容が濃く深いものであるために、もう少し長く教育を受けたいと言う意見はよく耳にします。今後の検討課題にさせていただきたいと思います。他にありますか。

石澤:

専修医は卒後3年目ですので、診断や治療方針の決定をある程度任せ、初期研修医や学生の指導を担当させてはいかがでしょうか。

市原:

一期生の皆さんの活躍を見て、来年度から専修医の責任範囲を増すことを検討する予定です。

田坂:

後輩の指導という話が出ましたが、初期研修医や学生への指導と教育については負担に感じませんか。

林:

私たちも先輩に教えていただいていますし、教えることにより学ぶことも多いと思います。石澤先生と同じ意見ですが、卒後三年目なので患者さんへの病状説明をもう少し任せていただけると良い経験になると思います。他の医療機関を参考に、主治医に準じた立場を設けてはいかがでしょうか。

市原:

大変に貴重な意見であると感じております。本日伺いました意見は全て、研修担当者会議で検討し改善していきたいと思います。専修医の先生方も、いずれ後進を育成し、教育プログラムを作成する立場になります。そのためにも現在の経験を心に刻んで日々の研修に頑張ってください。本日はありがとうございました。

集合写真
(撮影:伊達悠岳)