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当科 正木克宜先生:中等症・重症喘息における吸入ステロイド薬のアドヒアランス不良因子の分析

題名

Risk factors for poor adherence to inhaled corticosteroid therapy in patients with moderate to severe asthma.

邦題

中等症・重症喘息における吸入ステロイド薬のアドヒアランス不良因子の分析

著者

慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 正木克宜

掲載ジャーナル

Asian Pacific Journal of Allergy and Immunology

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32563226/

論文要旨

背景

吸入ステロイド薬(ICS)のアドヒアランス悪化は喘息コントロール増悪因子の1つである。

方法

慶應義塾大学病院等に通院中のGINA step3-5の喘息患者において、アドヒアランス不良と関連した因子を自己記入式質問票のデータ等から解析した。アドヒアランス不良は「週に2回以上のICSの怠薬」もしくは「ICS連日吸入の必要性の認識欠如」と定義し、アドヒアランス遵守への障壁をAdherence Starts with Knowledge 20ASK-20)質問票を用いて評価した。

結果

評価対象者85人のうち19(22%)がアドヒアランス不良であった。アドヒアランス不良群では良好群に比較して、喘息診断時の年齢が若かった(中央値 [四分位範囲]: 10.0 [3.0-50.0] vs 41.0 [18.5-51.5] , p=0.05)。ASK-20による評価では、小児期に喘息と診断された患者はそうでない患者に比較して「多剤の服薬に対する抵抗感」と「服薬回数の遵守」に関する項目で差異が見られた。

結論

診断時の年齢は、成人中等症・重度喘息患者のICSアドヒアランス不良に関連する。

本論文の与えるインパクトや将来の見通し

対象患者の4割で喘息コントロール不良(ACT 20未満)であったにもかかわらず、2割以上の患者でICS服薬のアドヒアランス不良が認められた。、小児期に診断された患者ほどアドヒアランスが不良であったが、1型糖尿病などの他の疾患でも思春期においてアドヒアランスが低下し、それが成人期にも遷延することが知られている。喘息においてもアドヒアランスの落ち込みを防ぐための対策や患者教育が重要であると考えられる。


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