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Achievements

当科出身、ミシガン大学留学中の八木一馬先生の論文がAnn ATSに採用されました

題名

Clinical Features and Prognosis of Nontuberculous Mycobacterial Pleuritis: A Multicenter Retrospective Study

邦題

非結核性抗酸菌による胸膜炎の臨床的特徴 〜後向き多施設共同観察研究〜

著者

慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 八木 一馬

掲載ジャーナル

Ann ATS (Annals of American Thoracic Society)

https://doi.org/10.1513/AnnalsATS.202008-938OC

論文要旨

背景

非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria, NTM)による胸膜炎は肺NTM症に伴う稀な合併症として症例報告が散見されるものの、その臨床像や予後については十分には明らかにされていない。

目的

NTMに伴う胸膜炎の臨床像を明らかにする。

方法

 NTM-JRC (Nontuberculous mycobacteriosis and bronchiectasis- Japan Research Consortium)に参加している国内8施設において、2001年1月から2018年6月の期間に胸水中からNTM培養陽性となった症例を集積し、その臨床的特徴を後方視的に検討した。

結果

症例は合計64例、年齢中央値は73歳で37例(58%)が女性、原因菌種はMAC(M.avium complex)が54例(84%)と最多であった。画像所見では、39例(61%)に空洞影を、44例(70%)で気胸の併存を認めた。胸膜炎発症後は、48例(75%)が抗菌薬治療を受け、42例(66%)と17例(27%)において各々胸腔ドレナージ及び手術治療が施行され、期間中に64例中27例(42%)が死亡した。また、年齢と性別をマッチさせた胸膜炎非合併の肺MAC症54例を対照群としてMAC胸膜炎54例と比較検討も行い、MAC胸膜炎の予後は胸膜炎非合併の肺MAC症と比較して有意に悪く(P< 0.0001)、胸膜炎合併は肺MAC症における独立した予後関連因子であった(adjusted hazard ratio, 6.99; 95% confidence interval, 2.58-19.00) 。

結論

MAC胸膜炎は胸膜炎非合併の肺MAC症と比較して予後不良であり、胸膜炎合併は肺MAC症患者の全死亡における独立した関連因子であった。

本論文の与えるインパクトや将来の見通し

肺NTM症患者の診療において胸膜炎合併例が予後不良であることを再認識することがまず重要である。多剤併用抗菌薬治療のみならず、胸腔ドレナージ及び手術治療などを含めた集学的治療が必要となる症例が多いが、その治療内容や期間、時期などの適正化・標準化については今後の研究で明らかにされる必要があるであろう。


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