HOME ›  Achievements ›  当科 鈴木翔二先生:ADAM17はCD62L陽性白血球の浸潤抑制によりマウスエラスターゼ誘導性肺気腫の形成を抑制する

Achievements

当科 鈴木翔二先生:ADAM17はCD62L陽性白血球の浸潤抑制によりマウスエラスターゼ誘導性肺気腫の形成を抑制する

題名

ADAM17 protects against elastase-induced emphysema by suppressing CD62L+ leukocyte infiltration in mice

邦題

ADAM17CD62L陽性白血球の浸潤抑制によりマウスエラスターゼ誘導性肺気腫の形成を抑制する

著者

慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 鈴木翔二

掲載ジャーナル

American Journal of Physiology-Lung Cellular and Molecular Physiology

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32130031/

論文要旨

背景

慢性閉塞性肺疾患(COPD; chronic obstructive pulmonary disease)の病態においてmatrix metalloproteinases (MMP)-12をはじめとしたMMPは重要な役割を果たしているが、ADAM (a disintegrin and metalloproteinase) COPD発症における役割は明らかではない。ADAM17は代表的なADAMの一つであり、炎症部位への免疫細胞の遊走促進に重要な役割を果たす接着分子であるCD62Lをはじめとする様々な細胞表面タンパク質を切断するシェダーゼである。本研究では、エラスターゼ誘発性肺気腫の発症におけるADAM17CD62Lの潜在的な役割を調べることを目的とした。

方法

Adam17flox/flox/Mx1-CreAdam17ΔMx1)マウスおよび対照群にブタ膵臓由来エラスターゼを経気管投与し、平均肺胞間距離を評価した。

結果

Adam17ΔMx1マウスでエラスターゼ誘導性肺気腫はより高度に認められた。フローサイトメトリーでは、Adam17ΔMx1マウスでCD62L+好中球、マクロファージ数、Bリンパ球数が有意に増加しており、CD62L中和抗体を用いることで、Adam17ΔMx1マウスの肺気腫の程度が改善された。

結論

ADAM17は免疫細胞のCD62Lをシェディングすることで肺気腫の進行を抑制している可能性がある。

本論文の与えるインパクトや将来の見通し

本研究によりADAM17CD62Lは肺気腫の新規治療標的となりうることが示唆された。今後はよりヒトCOPDの病態に近い喫煙誘導性肺気腫モデルでの検討を行っていき、さらに病態に迫りたい。


トピックス

  • 同門会(要パスワード)
  • サタデーレクチャー(要パスワード)
  • 寄附講座
  • 患者様へ 臨床研究について

page top


Copyright(c) 2024 Keio University Hospital. All rights reserved.