多発性硬化症/視神経脊髄炎について

はじめに

私たちの脳や脊髄では複雑な神経ネットワークが張り巡らされ、電気的信号が絶え間なく往来しています。例えば、手足を動かしたり、あるいは 手足でなにかを感じたりする際には、脳と手足をつなぐ総長1メートル以上に及ぶ神経ネットワークに電気信号が流れています。この神経伝導速度を加速化する 機構として、神経ネットワークの線維には「オリゴデンドロサイト」と呼ばれる細胞によって「髄鞘(ミエリン)」と呼ばれる膜状構造物が巻かれています。こ の髄鞘は一般的な電気ケーブルにおけるビニル膜のように内部の神経線維に流れる電気的信号を絶縁し、その伝導を高速化しています。

この髄鞘が破壊される疾患を「脱髄疾患」と呼びます。オリゴデンドロサイトによって髄鞘が形成されているのは脳・脊髄・視神経の3箇所であ り、これらを総称して「中枢神経系」と呼びます。髄鞘が破壊されると、前述の神経伝導速度は著明に低下し、或いは途絶してしまいます。その結果として様々 な神経症状を呈するようになります。

中枢神経系脱髄疾患の中には様々な疾患が含まれますが、それらのうち「多発性硬化症」は世界で約250万人が患う、最も患者数の多い疾患で す。中枢神経系脱髄疾患で患者数が二番目に多い疾患は「視神経脊髄炎」です。多発性硬化症と視神経脊髄炎は臨床症状がよく似ており、後者はかつて「視神経 脊髄型多発性硬化症」と呼ばれ多発性硬化症の亜種として理解されていました。最近ではこの二者はその病理も治療方法も異なることが分かってきており明確に 区別するようになっています。したがって、中枢神経系脱髄疾患の診断においては治療方法が異なるこれら二者を慎重に鑑別することが特に重要です。本邦での 多発性硬化症と視神経脊髄炎の患者総数は現在約2万人とされていますが、昨今は増加の一途にあり、2040年代には患者数が5万人を突破すると推計されて います。なお、多発性硬化症と視神経脊髄炎はいずれも難病として国から指定されています。

多発性硬化症とは

中枢神経系脱髄疾患のうち、脱髄の特徴として「空間的多発性」と「時間的多発性」を認めるものを多発性硬化症といいます。「空間的多発性」 とは、中枢神経系の複数の箇所に脱髄が生じることを意味します。「時間的多発性」とは再発性に脱髄が生じることを意味します。他の疾患の可能性(特に視神 経脊髄炎)が否定され、かつこの“二つの多発性”が確認された場合に、多発性硬化症と診断します。

多発性硬化症では中枢神経系の様々な場所に脱髄が生じますので、病変の場所に応じた症状が出現します。初発症状としては運動系(麻痺や脱 力)、感覚系(しびれや感覚鈍麻)、あるいは視覚系(視力低下)の症状が多いようですが、小脳系(ふらつき)や精神症状などで発症する方もいます。全ての 脱髄病変が症状を呈するとは限らず、自覚症状は全くなく、MRIを撮って初めて脱髄の存在に気付くこともあります。多発性硬化症では何らかの自覚症状を呈 する脱髄は、個人差がありますが概ね年1回程度生じることが多いです(これを「再発」と呼びます)。多くの場合は再発のたびに異なる症状が出現します。

多発性硬化症は若年女性に発症しやすい傾向にありますが、男性患者さんや、最近では小中学生での発症や高齢発症も認められ、個人差が非常に 大きい疾患です。平均的な多発性硬化症は20歳代で発症し、その後不定期に再発を繰り返します。発症後5~10年程度は、再発しても数ヶ月以内に症状がほ とんど消失してしまうことが珍しくありません(これを「寛解」と呼びます)。しかし、再発と寛解を繰り返すうちに次第に後遺症が蓄積するようになり、多く の患者さんは40歳代以降になると歩行が困難になってきます(この状態の多発性硬化症を「二次性進行型」と呼びます)。二次性進行型に移行すると、再発の 有無に依らず症状が持続的に悪化するようになり、50歳代で杖歩行、60歳代で車椅子生活となり、最終的には寝たきりとなります。また病気の進行により身 体的にも精神的にも疲れやすくなり、注意力や記憶力が低下し社会生活が難しくなることもあります。排尿や排便などに支障を来すことも珍しくありません。し かしながら、全体の少なくとも20%程度は二次性進行型に移行せず、独立歩行が可能な状態で一生涯を過ごせることが疫学調査によって判明しています(この ような患者さんを「良性型」と呼び区別します)。さらに、適切な病態修飾薬を早期から使用することで二次性進行型への移行を遅らせ、また良性型の患者さん を増やすことが可能であると期待されています。

多発性硬化症の研究は精力的に続けられていますが、残念ながら未だ原因不明の神経難病です。多発性硬化症の病理像では脱髄が生じている箇所 にリンパ球などの炎症細胞が認められることから、自己免疫性疾患の一種である可能性が指摘されていますが、これも仮説に過ぎず、厳密な証明は為されていま せん。最近ではこのような炎症とは独立して、脳の萎縮が生じることも分かってきています。さらに、多発性硬化症の患者さんでは、髄鞘を形成しているオリゴ デンドロサイトに異常があり、脱髄後の髄鞘再生能力が、健常人に比べて弱いことも分かってきました。すなわち多発性硬化症の病態には、「炎症性脱髄」、 「脳萎縮」、「髄鞘再生不良」という少なくとも三つの病理が関与していると考えられています。患者さんごとにこれら三者の関与程度は異なるようであり、ま た病気の進行と共に変化が生じる可能性も考えられます。これらの三つの病理が何を契機として生じるのかは未だ解明されていません。多発性硬化症はいわゆる 遺伝性疾患ではありませんが、その有病率に人種差や地域差があることから、個々人の体質や周辺環境がその発症に少なくとも関与していると考えられていま す。

多発性硬化症は原因不明であることから、根治薬は残念ながら開発されていません。しかしながら、前述の三つの病理のうち、「炎症性脱髄」と 「神経変性」についてはそれぞれの進行を抑える治療薬が1993年以降、矢継ぎ早に開発されており、その数は世界的には既に十種類を超えています。これら は根治薬ではないことから、一般に「病態修飾薬」と呼ばれています。さらに近い将来には、第三の病理である「髄鞘再生不良」を克服する再生医薬も現実にな ることが期待されています。

多発性硬化症は神経難病でありますが、昨今の研究開発によりその治療戦略は新たな時代を迎えたといえます。多発性硬化症とより良く付き合 い、一生涯を通じて歩行能力を失うことなく通常の社会生活を送れるようにするには、第一に早期に正しい診断を受けることが重要です。その上で個々人の病態 に応じた病態修飾薬を適切に選択し、また病状の変化に応じて最適化することが極めて重要です。

※慶應義塾大学病院医療健康情報サイト「KOMPAS」にも、本症の説明を掲載しておりますのでご覧ください。

視神経脊髄炎とは

従来多発性硬化症と診断されていた患者さんの中に、特に視神経と脊髄に脱髄病変が多い方が本邦では欧米に比して多いことが以前より指摘され ていました。このような症例はかつて「視神経脊髄型『多発性硬化症』」と呼称していましたが、一般の多発性硬化症と同様に治療が実施されてきました。しか しながら、2005年に抗アクアポリン4(AQP4)抗体と呼ばれる免疫物質がこれら視神経脊髄型の患者さんの血液中にしばしば検出され、一方で通常の多 発性硬化症では全く検出されないことから、この二者は異なる疾患であると考えられるようになり、呼称を「視神経脊髄炎」として多発性硬化症と明確に区別す るようになりました。

抗AQP4抗体は人間の身体が作る免疫物質で、AQP4分子を攻撃する性質を持っています。AQP4分子は中枢神経系の「アストロサイト」 と呼ばれる細胞に多く発現していることが知られています。すなわち、視神経脊髄炎では自分の免疫系が自分の身体の一部であるアストロサイトを攻撃してしま うことで生じています。その結果、アストロサイトの周辺に炎症が惹起され、脱髄や神経の破壊が生じることが分かってきました。従って、視神経脊髄炎は多発 性硬化症よりも確実に自己免疫疾患と考えることができます。なぜ視神経脊髄炎の患者さんの体内で抗AQP4抗体が突如出現するのかは未だ解明されていませ ん。

視神経脊髄炎はあらゆる年代で発症しますが、多発性硬化症に比べて高年齢での発症が目立ちます。風邪症候群や出産後などの免疫の活動性が変 化するタイミングで発症したり再発することも多いようです。その病名の通り、視神経と脊髄に炎症が生じやすく、視神経では眼痛や視力低下を引き起こし、炎 症が視神経全体に波及すると失明することもあります。また両眼が同時に発症することも珍しくありません。脊髄においては、体幹部の締め付け感(バンドを巻 いているような感覚)や四肢のしびれや脱力を引き起こし、炎症が脊髄の広範囲に波及すると寝たきりになることもあります。また、意外にも脳に炎症が生じる こともしばしば認められ、特に脳幹部に炎症が生じやすい傾向にあります。脳幹に炎症が生じると難治性のしゃっくりや嘔気を呈し、炎症が更に広範囲に波及す ると生命維持に必要な神経機能が障害され致命的となることもあります。さらに最近では筋肉にも炎症が生じることがあると報告されています。

重要なことは、視神経脊髄炎で生じる炎症は多発性硬化症に比して強力であるということです。単純に髄鞘が剥がれるのみで終わることの多い多 発性硬化症の炎症とは異なり、視神経脊髄炎では髄鞘と同時に神経線維も強く傷害され、壊死に至ることもあります。このため、多発性硬化症よりも重い後遺症 を遺しやすい傾向にあります。従って、視神経脊髄炎ではその発症を疑った際には早急に治療を開始する必要があります。治療はまずステロイドを大量に点滴投 与する、ステロイドパルス療法を実施することが一般的ですが、抗AQP4抗体の攻撃性を増悪させる「補体」と呼ばれる免疫物質が関与する場合や、炎症が高 度の場合はステロイドパルス療法の有効性が乏しいこともあります。このような場合には血中の免疫物質(抗AQP4抗体と補体)を物理的に取り除くために人 工透析の一種である血液浄化療法を実施することがあります。

一方、急性期を過ぎた視神経脊髄炎では、ステロイド剤や免疫抑制剤を適切に選択し投与することで大部分の患者さんが再発を予防できます。こ れら薬剤は視神経脊髄炎の原因となる自己免疫のみならず、正常の免疫機能も抑制することから、再発予防を重んじるあまり易感染性となってしまわないよう、 免疫のバランスをとる必要があります。また特にステロイド剤は長期に服用すると様々な副作用を呈することからこれらの管理と対策も必要となります。

2005年に抗AQP4抗体が発見されるまでは、視神経脊髄炎と多発性硬化症を区別するのは容易ではありませんでした。血液検査で抗 AQP4抗体が陽性であれば視神経脊髄炎と考えて治療を選択して構いませんが、注意すべきは、抗AQP4抗体が陰性であっても視神経脊髄炎が完全には否定 できないということです。視神経脊髄炎の4人に1人は抗AQP4抗体が陰性であると推定されており、このような“隠れ視神経脊髄炎”を多発性硬化症と誤診 しその病態修飾薬を使用すると、急激に視神経脊髄炎の症状が悪化することがあります。このような“隠れ視神経脊髄炎”を見落とさないよう、抗AQP4抗体 が陰性であっても様々な臨床情報から視神経脊髄炎の可能性を探る必要があります。しかしながら、多発性硬化症と視神経脊髄炎の両方の特徴を備えており、鑑 別診断ができないこともあります。このような場合には、後遺症の重篤性を鑑みて、まず視神経脊髄炎に準じた治療を試してみることがあります。

(医療関係者の方へ)多発性硬化症の治療戦略について

多発性硬化症の臨床的評価においては「再発」・「身体障害度(EDSS)悪化」・「高次脳機能障害」の三軸評価が重要です。なぜなら、これ ら三軸は必ずしも相互依存性がないからです。すなわち、再発が多くてもEDSSが中長期的に悪化しない症例がある一方で、再発が少ないのにEDSSが悪化 する症例があります。あるいは、再発が少なくEDSSが安定しているにもかかわらず高次脳機能障害のみが顕在化する症例も見受けられます。

このような臨床症状の背景には、前述の「炎症性脱髄」・「脳萎縮」・「髄鞘再生不良」の三病理が潜んでいます。多発性硬化症の治療目標はこ れら三病理を十分に制御することで、臨床症状を安定化させることです。しかしながら、現時点で髄鞘再生不良を克服する病態修飾薬は開発途上にあり、現実的 には炎症性脱髄と脳萎縮の二病理が治療目標となります。逆に、病態修飾薬の効果判定においては、この二病理が十分に制御されているか、その結果として臨床 症状が落ち着いているかどうかに留意する必要があります。

具体的な「炎症性脱髄」の評価にいて、臨床的再発の有無のみで評価することは不十分です。なぜなら累計再発回数と長期予後の相関性は乏しい ことが判明したからです。多発性硬化症においてはMRIによって無症候性の脱髄病変が多数認められます。このようなMRI上の「画像的再発回数」は臨床的 再発回数よりも数倍~数十倍の高感度で病勢を反映すると考えられており、また長期予後との相関性が確認されています。「脳萎縮」はこれら画像的再発とは独 立して長期予後と相関性が認められています。

以上の最大公約数としての“NEDA(No evidence of disease activity)”が多発性硬化症の最適な治療の指標として提唱されています。具体的なNEDAとは、①臨床的再発がないこと、②EDSSの悪化がない こと、③MRIにおける画像的活動性がないこと、④MRIにおける脳萎縮進行がないこと、の4点を満たす状態を指します。従って病態修飾薬の使用において は、NEDAが維持されているかどうかを常に見極め、必要に応じてその選択を再考する必要があります。より実践的には、多発性硬化症の診療においては臨床 的再発の有無のみならず、EDSSを確実に記録し、定期的な造影MRI検査を実施する必要があります。MRIの検査頻度は患者の疾患活動性によって検討す る必要がありますが、少なくとも年に1回以上の検査が望ましいとされています。当院では疾患活動性が高い(特に若年の)患者さんや、疾患修飾薬を開始ない し変更したばかりの患者さんにおいては、3~6ヶ月の頻度で造影MRI検査を実施することもあります。

NEDA

なお、急性期(臨床的再発時)は原則としてステロイドパルス療法を実施していますが、症状程度や患者希望によってはこの限りではなく、経過 観察のみとすることもあります。再発時のステロイドパルス療法は短期的な症状増悪リスクを軽減することが明らかとなっていますが、長期予後改善効果は否定 的です。また多発性硬化症と診断が確定した症例においては、ステロイドパルス療法後に経口ステロイド剤を用いた後療法は実施しません。ステロイドパルス療 法の実施如何にかかわらず、臨床的再発があること自体は前述のNEDAが維持されていないことを意味しており、ベースとなる病態修飾薬の選択が適正かどう かを慎重に見直す必要があります。

現在、世界中では10種類以上の病態修飾薬が上市されていますが、本邦ではこのうち4種類が使用可能です。国外では薬効や標的分子の差異を 考慮して複数種類の病態修飾薬を併用投与する試験も行われていますが、現時点ではいずれかの単剤投与が原則です。それぞれに一長一短があると同時に、一定 程度の非奏効者(non-responder)が存在することも留意しておく必要があります。また、現在本邦で使用可能な病態修飾薬はいずれも視神経脊髄 炎を増悪させる報告が為されていることから、病態修飾薬の開始に際しては抗AQP4抗体の検査を含めた視神経脊髄炎の鑑別診断が極めて重要です。いずれか の病態修飾薬を開始した後は、前述のNEDAを参考に適宜最適化を図ることが肝要です。なお、多くの症例では痙性や膀胱直腸障害などに対する対症療法を、 他の神経疾患に準じて併用します。

NEDA

(医療関係者の方へ)視神経脊髄炎の治療戦略について

多発性硬化症/視神経脊髄炎のいずれかを疑った症例では原則として全例に抗AQP4抗体検査を実施し、臨床病型の如何にかかわらず、抗体陽 性例に対しては視神経脊髄炎に準じた治療を実施することが必要です。また、抗AQP4抗体検査が陰性であっても、臨床経過やその他の臨床情報(他の自己免 疫疾患の合併有無、他の自己抗体の合併有無、MRI所見など)から総合的に判断し視神経脊髄炎が疑わしい場合には視神経脊髄炎に準じた治療を行います。

本症は治療の遅延によりしばしば重篤な後遺症を遺すことから、急性期においては可及的速やかな治療開始が重要です(治療を先んじて開始する 場合においては、後日精査のために治療前血清と脳脊髄液保管しておくことが推奨されます)。急性期治療ではまずステロイドパルス療法を実施しますが、症状 程度によっては1クール(通常は3日間)を5日間に延長するか、複数回実施することもあります。ステロイドパルス療法の短期的効果として、血液脳関門の閉 鎖や炎症細胞のアポトーシス誘導などが期待され、症例によっては治療開始数日以内に劇的な効果を認めます。他方、ステロイドパルス療法が明らかな効果を示 さない場合は、既に産生された抗AQP4抗体や補体を積極的に体内から除去するために血液浄化療法を検討する必要があります。血液浄化療法には単純血漿交 換療法(PE)や免疫吸着療法(IAPP)など複数の方法論がありますが、補体を含む免疫物質の除去効果を鑑みて、当院では原則として単純血漿交換療法 (PE)を実施しています。血液浄化療法の実施に際しては、新たな抗AQP4抗体産生を抑制するために経口ステロイド剤による免疫抑制を併用する必要があ ります。血液浄化療法後はステロイドパルス療法を再度実施し、経口ステロイド剤による後療法へ移行します。後療法はプレドニゾロン (PSL)40~60mg/日で開始しますが、5日毎に5mgずつ漸減し、PSL 15~20mg/日をひとまずの維持量とします。この維持量で可能であれば1年以上維持した上で、ゆっくり(1mg/月)漸減を再開します。PSL 5mg/日への漸減を目標としますが、多くの症例ではPSL 5~10mg/日で症状の不安定化を認めます。その際は症状の安定していた最低容量で継続するか、副作用などのためにそれが困難である場合は免疫抑制剤の 併用を検討します。脳脊髄液への移行性と健康保険の適用状況から当院ではアザチオプリンを免疫抑制剤の第一選択としています。少量から開始し、副作用に注 意しながら漸増します。アザチオプリンの奏効には半年程度必要なこともあり、経口ステロイド剤の漸減はアザチオプリンの奏効を待って再開します。

経口ステロイド剤の長期投与においては消化性潰瘍、骨粗鬆症、日和見感染症などの合併症に十分な注意が必要であり、プロトンポンプ阻害剤、 ビスフォスフォネート製剤、ST合剤などの併用投与を検討します。また多発性硬化症と同様に、多くの症例では痙性や膀胱直腸障害に対する対症療法を他の神 経疾患に準じて併用します。視神経脊髄炎では時に有痛性強直性痙攣(painful tonic spasm)の発生を認めますが、多くの症例ではカルバマゼピンが有効です。また多発性硬化症よりもしびれや疼痛の後遺症を多く認め、各種抗てんかん薬や 抗うつ薬などの投与による疼痛緩和が必要となります。

視神経脊髄炎に対する標準治療(慶應義塾大学病院)

当院で実施している治験/臨床研究

現在、当院当科では以下の治験及び臨床研究を実施しています。いずれも当院倫理委員会の審査承認を経て実施されています。ご不明な点は下記までお問い合わせください。

慶應義塾大学医学部神経内科
〒160-8582 東京都新宿区信濃町35
電話 03(3353)1211 (代表)

1)<治験> フマル酸ジメチル(BG-12)

対象: 多発性硬化症(再発寛解型)
治験薬: 新規病態修飾薬・フマル酸ジメチル(BG-12)/経口投与
開発元: バイオジェン・アイデック社(米国)
試験デザイン: 国際共同第3相臨床試験/プラセボ対照二重盲検比較試験
https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01838668
当院症例数: 6症例
治験責任医師: 神経内科准教授 高橋愼一

2)<治験> ファンピリジン

対象: 多発性硬化症(進行型)
治験薬: 新規対症療法薬・ファンピリジン/経口投与
開発元: バイオジェン・アイデック社(米国)
試験デザイン: 国内第3相臨床試験/プラセボ対照二重盲検比較試験
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01917019
当院症例数: 6症例
治験責任医師: 神経内科助教 中原仁

3)<治験> シポニモド(BAF312)

対象: 多発性硬化症(二次性進行型)
治験薬: 新規病態修飾薬・シポニモド(BAF312)/経口投与
開発元: ノバルティスファーマ社(スイス)
試験デザイン: 国際共同第3相臨床試験/プラセボ対照二重盲検比較試験
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01665144
当院症例数: 3症例
治験責任医師: 神経内科助教 中原仁

4)<臨床研究> 中枢神経疾患に対する核磁気共鳴画像・ミエリンマップによる評価法の確立

概要: MRIの新規撮像法(ミエリンマップ)に関する研究
研究デザイン: 非介入型臨床研究
承認番号: 20110364
研究責任者: 神経内科准教授 高橋愼一
実務責任者: 神経内科助教 中原仁

5)<臨床研究> 多発性硬化症における予後予測に関する研究

概要: 多発性硬化症の予後の予測因子を探索する研究
研究デザイン: 非介入型臨床研究
承認番号: 20150110
研究責任者: 神経内科准教授 高橋愼一
実務責任者: 神経内科助教 中原仁
お願い:
多発性硬化症の診断・治療のため当院へ入院ないし通院されていた患者さんの診療情報を用いた
臨床研究に対するご協力のお願い

このたび当院では、上記のご病気で入院・通院されていた患者さんの診療情報を用いた下記の研
究を実施いたしますので、ご協力をお願いいたします。この研究を実施することによる患者さん
への新たな負担は一切ありません。また患者さんのプライバシー保護については最善を尽くしま
す。本研究への協力を望まれない患者さんは、その旨、実務責任者(中原仁助教)までご連絡
お願いします。

1)対象となる方
西暦2011年11月1日より2015年5月31日までの間に、神経内科にて多発性硬化症の診断・治療
のため入院ないし通院し、診療を受けた方

2)研究課題名
多発性硬化症における予後予測に関する研究

3)研究実施機関
慶應義塾大学医学部内科学教室(神経)・慶應義塾大学病院神経内科

4)本研究の意義、目的、方法
多発性硬化症の経過は個人差が大きいことが指摘されていますが、それを事前に予測する方法は
十分に確立されていません。様々な治療薬(病態修飾薬)が開発されてきており、副作用に配慮
しながら最大限の効果を得られるように治療を最適化するためには、患者さんごとの長期経過を
事前に予測する方法論を確立することが重要です。本研究では多発性硬化症の診断・治療のため
に当院当科へ通院された患者さんの診療情報より得た各種データを解析し、長期経過を事前に予
測するための方法論を確立することを目標としています。

5)協力をお願いする内容
上記研究を実施するために、診療録及び各種検査データ(血液検査、脳脊髄液検査、MRIなどの
画像データ)の閲覧にご協力ください。

6)本研究の実施期間
2015年6月23日~2020年3月31日(予定)

7)プライバシーの保護について
本研究では個人情報(氏名、住所、電話番号など)は一切取り扱いません。
本研究で取り扱う患者さんの診療情報は、個人情報をすべて削除し、第三者にはどなたのものか
わからないデータ(匿名化データ)として使用します。

8)研究資金・利益相反
本研究には文部科学省科学研究費補助金が使用されます。利益相反はありません。

9)お問い合わせ
本研究に関する質問や確認のご依頼は、下記へご連絡下さい。
内科学教室(神経) 担当:中原仁(助教)
電話番号 03(5363)3877 ※平日:午前9時~午後5時※