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ご挨拶

鈴木則宏
慶應義塾大学医学部内科学(神経内科)

鈴木 則宏 教授

平成16年4月1日から、神経内科学教室を主宰させていただいております。相澤豊三先生が創り、後藤文男先生が育て、福内靖男先生が実らせた伝統のある教室をさらに発展させるべく努力して参りたいと思っております。

当教室の第一の目標は、神経内科領域における最新・最先端の医療技術の導入・開発です。かつて神経内科医は、「神経内科学には診断学はあっても治療学はない」などと揶揄されることが多く、つらい時代を経てきました。このような、いわゆる神経内科の黎明期に医学部を卒業し神経内科学教室に入った私にとって、最近の神経内科治療の進歩は目覚ましく、心浮き立つものがあります。神経内科領域疾患の診断・治療は、免疫性神経疾患の治療やジストニアに対するボツリヌス毒素の応用、片頭痛発作に対するトリプタンの導入など、ここ十数年にめざましい進歩を示しています。神経疾患の遺伝子解析などによる最近の診断精度の向上にとどまらず、根治療法を目指す再生医学研究や遺伝子治療の発展を、実際に臨床へ潤滑に応用することができるような理論的にも臨床的にも、また倫理的にもしっかりとした基盤をもつ神経内科を目指しています。

一方、神経内科疾患にはいわゆる難病と称される特定疾患指定に属するものが多く、心理的に負担を負っている患者が多いのが特徴です。その疾患を持つ患者様の心理を理解することはこのような慢性疾患の治療の基本的な姿勢となります。したがって、患者様および家族と十分な意思の疎通がとれるだけの心理的・物理的な余裕を持てるような教室のスタッフを育てることを第二の目標にしております。

慶應義塾大学病院は、外来患者受診数1日4,000〜5,000と、多岐にわたる疾患が集まっていることが特徴です。第三の目標は、これらの患者様を大きく各疾患別に分け痴呆疾患外来やパーキンソン病外来などの特定疾患専門外来を確立し、高度で最新の神経内科診療を供給し、充実した臨床実績を獲得することです。

第四の目標は、診療の場において、臨床系はもちろん基礎系教室も含めて学内・院内の他科との連携の活性化・緊密化です。神経疾患との関連で臨床各科とはもちろん、基礎医学諸教室とも症例検討会や互いの共通のテーマによる意見交換や講義などを通して各科の最新技術の恩恵を神経内科の患者に提供できるように努めております。これまで私は脳血管の収縮・拡張機構の病態生理、血液脳関門の機能、片頭痛の病態、疼痛の受容体機序、痴呆などの神経疾患におけるニューロトランスミッターの機能の解明と役割について研究を進めてきました。これらの研究も継続し、他科との協力体制も導入し精力的に進めております。

第五の目標は、慶應義塾大学医学部の関連病院との連携をさらに活発化させることです。昨今の医療制度の急激な変化は、病院の経営に対して多大な影響を及ぼしています。在院日数の短縮、ベッド回転率の向上は病院運営上、必須の努力目標でありますが、疾患特異性から神経内科はその達成がきわめて困難な診療科の一つです。これを克服するためには、関連病院との病病連携、病診連携の活性化が必須と考えられ、活発な人事交流を促進するなど、さらなる関係の緊密化に努力しております。

以上、教室の基本理念を述べさせていただきましたが、多くの目標を遂行するにあたって最も必要な基本的事項は、教室の良い雰囲気であると考えております。歴史を大切にしつつ、しかもそれにとらわれず、これまでの教室にはなかった研究の新たな流れや学内外の研究者さらに国内外留学から留学生が持ち帰った新たな技術を積極的に取り入れて柔軟な教室を作っていきたいと考えております。このような理念にご賛同いただける若さと情熱にあふれる教室員を求めています。どうか、躊躇なく積極的に当教室にアプローチしていただきたいと思います。

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